膝の水
Q.膝に水がたまる原因は?
母は膝が痛く整形外科に通っています。膝に水が溜まっているらしく時々水を抜いてもらっています。膝の水はどこから来るのですか?また、水を抜くとクセになると聞いたことがあります。大丈夫でしょうか?
A.膝の関節で炎症が起こり滑膜が正常に機能しないことが原因です。
関節は2つの骨が接している部分です。滑らかに動くように骨の表面は関節軟骨で覆われていますが、潤滑油の働きをする液体がないと、うまく滑りません。
これが関節液で潤滑油の働きをします。また、成人の関節軟骨は血管から栄養を受けておらず、関節液から必要な栄養を得ています。
関節液はどこで作られるかということですが、関節を覆う関節包の最内層である滑膜で作られます。
滑膜層のすぐ下に毛細血管が豊富に分布し、血液の液体成分である血漿成分が滑膜を通過し、滑膜細胞で作られるヒアルロン酸とともに関節液を構成します。軟骨からの老廃物や代謝物質は関節液中に放出され、滑膜や滑膜下組織の毛細血管やリンパ管から吸収されます。
これらのことから、関節の水(関節液)は関節にとって非常に大切なものと言えます。
膝に水が溜まるのはなぜでしょう。これは、膝の関節で炎症が起こっているためなのです。滑膜が炎症を起こすと、滲出液が多量に関節内に放出される、滑膜が正常に機能しないので関節軟骨の栄養交換が悪くなる、この時の関節液中には炎症性の酵素が混入し関節軟骨にダメージを与える、等が起こります。
膝関節に炎症が発生する原因は、①関節を壊すような外力を一度に加える(捻挫・靭帯損傷、関節部での骨折等)②関節を過度に使う(歩きすぎ・走りすぎ等の使いすぎや、老化、O脚・X脚等の変形で関節に偏った荷重が常に加わる等)③リウマチ等の免疫系疾患の存在④細菌や炎症を起こす化学物質等の膝関節内混入、等があげられます。
そして、膝関節の炎症を緩和してやるためには、①患部を安静にする②患部を冷やす③荷重を掛けないよう杖をつく・体重を減らす④医師の診察をうけ消炎鎮痛剤を外用(シップ、軟膏)、服用する 等があります。
繰り返しになりますが、膝に水が溜まるのは、関節に炎症が起こっているためです。
膝関節から注射器で水を抜くとクセになると信じている人がいますが、水を抜いた後でも炎症が続けば再び水が溜まってくるわけで、クセというわけでは決してありません。
注射器で水を抜いて、炎症を抑えるステロイド剤を入れたり、ヒアルロン酸製剤を注入してやったほうが関節にとって良いことと言えます。整形外科医によく相談し適切な治療を受けられることをお勧めします。
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